事案の概要
Aさんは非上場の同族会社X社の株主でしたが、議決権ベースで10%弱しか株式を有しておらず、同族会社X社はAさんの兄弟であるBがその余の株式を有しておりBが会社の経営をしていました。AさんはBに株式の売却を求めていましたが、前向きな回答を得ることができず、同族会社X社の株式には譲渡制限が設けられていたため株式の売却ができないのか不安になられご相談に来られました。
解決までの流れ
Aさんは定款を持っておらず計算書類も一部しか持っていませんでした。そこで、まずは、定款と計算書類の謄本の交付を請求しました。同族会社X社の状況を検討した結果、買主候補となる第三者を見つけるのが困難であることが想定されたので、同族会社X社に対して株式売却の打診を行うことにしました。
Bは代理人をつけ、金額によっては株式を購入する意思があるということであったため、早期解決を目指してBと交渉をすることにしました。Aさんが将来株式を購入してくれる第三者を見つけた場合でも譲渡を不承認とした場合にはXもしくはXが指定した者が株式を買うことになるため(価格について協議が成立しなければ裁判所が決定)、Bとの交渉においては、仮に価格決定の裁判をすることになった場合の帰結を念頭に置きながら価格提示するなど交渉を行った結果、株式の売却が実現しました。
コメント
本件は、Aさんの当初の希望額よりは譲歩した形での決着となりましたが、仮に価格決定の裁判をすることになった場合に想定される価格の範囲内で決着することができました。